陽光まぶしいトスカーナの診療施設から、自由を求めて逃避行-
イタリア・トスカーナ州の陽光降り注ぐ精神診療施設で出会った、外見も性格も対照的なふたりの女性が織りなす友情ドラマだ。過去やしがらみから解放されようと、自由を追い求めるヒロインたちから溢れでる、人生の切なさや愛おしさを生き生きと描き出していく。このたび、そんな本作の撮影風景を捉えたメイキング写真が解禁。
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ演じる存在感抜群の“自称・伯爵夫人”ベアトリーチェの相棒ドナテッラ役を務めたのは、本作の監督パオロ・ヴィルズィの妻であり、今やイタリア映画界で引っ張りだこの若きトップ女優ミカエラ・ラマッツォッティ。ヴィルズィ監督作『見わたすかぎり人生』(08)への出演を契機に、ヴィルズィ監督と結ばれたミカエラ。本作では骨ばったガリガリの体に自分で切ったようなぼさぼさの髪、全身に23ものタトゥーを刻んだ奇抜な見た目で、うつ病と過去のトラウマを抱えながらも懸命に生きる希望を見出していく女性を演じる。
ミカエラは役について、「ドナテッラの頭の中にはいつでも小さいハエの群れがブンブン飛んでいるかのように常に何かに怯えている状態」と表現し、「それに耐えるのが簡単ではなく、私の気分を大きく左右し、セットでは笑うことができませんでした。一方で特に理由もなく突然泣き出すこともありました。撮影中にヴァレリアとよく泣いたものです」と述懐。
主演ふたりのキャスティングは、実は前作『人間の値打ち』の撮影中、ミカエラがセットを訪ねてきたことがきっかけとなった。ヴィルズィ監督は当時を振り返り、「休憩前の最後のテイク中、ふと見渡すと、ヴァレリアがミカエラをケータリングのテントに連れて行くところが目に入ったのです。ヴァレリアは小走りしていて、ミカエラは信頼と困惑が混ざったような様子で、後ろをよたよたと歩いていきました。地面がでこぼこで、雪が残っていたので、ヴァレリアはミカエラを支えるために腕を伸ばしました。その瞬間、私はこの魅惑的で美しく、コミカルで少しクレイジーな女性たちにカメラを向けたいという衝動に駆られたのです」とアイディアの源泉を語る。
ミステリーから極上の人生賛歌まで自在に描出する、ヴィルズィ監督の確かな采配、そしてベテラン女優ヴァレリアに並び、大幅に減量し難しい役どころに挑んだミカエラの繊細かつ体当たりの演技に注目してほしい。
<STORY>陽光まぶしいトスカーナの診療所から自由を求めて脱走を図ったおしゃべりで虚言癖のあるベアトリーチェと自分の殻に閉じこもるタトゥーまみれのドナテッラ。それぞれ心に傷を負いながらも、旅を続けていく中で、いつしか掛け替えのない絆でむすばれていく―。