記者会見の様子を映画ライターの佐藤氏がレポート!
第74回ゴールデン・グローブ賞授賞式で史上最多となる7部門制覇を成し遂げ、本年度アカデミー賞の大本命と目されているミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』。1月27日、都内にあるザ・リッツ・カールトン東京にて、監督のデイミアン・チャゼルと主演のライアン・ゴズリングを招いての記者会見が開かれた。
大勢の報道陣が待ち構える会場に、颯爽と現れたチャゼル監督とゴズリング。前作『セッション』(14年)が絶賛され、期待の新鋭として注目されたチャゼル監督だが、とにかく若い!事前のアナウンスが無ければ、「あの人も出演者かしら?」と勘違いしてしまいそうなナカナカの男前である。もちろん、世界中の婦女子のみならず俳優ジェームズ・フランコまでもメロメロにした超絶セクシー俳優ゴズリングの色気は、スクリーン外でも不変。イケメン2人の登場で、なんだか会見場内の空気もエロく妖しくなってはおるまいか?
第89回アカデミー賞での13部門14ノミネートという快挙について、監督は「まだ驚いている。ニュースを聞いた時、ちょうどライアンと一緒にいたので、シャンパンで乾杯したよ(笑)。作品のために頑張ったスタッフ・キャストの努力を、ノミネートという形で評価してもらえたことが嬉しい」とコメント。ゴズリングは「この映画を作れたことや、観客の皆さんに喜んでもらえていること自体が、すでに賞を受けたようなもの。そして(アカデミー賞の)色々な部門で候補に選ばれたことは、映画作りに携わった人たちの“チームとしての力”を認めてもらえたようで、とても感慨深いよ」と語る。
どうやって映画のヴィジョンを確立させていったのか、という質問には、「ファンタジックな要素とリアリスティックな要素、そのバランスを取ることが大切だった。過去への郷愁だけでなく、今を生きる人たちに共感してもらえるような物語を構築することもね。失敗する可能性も大きかったけど、同時に価値ある挑戦だった。何より、僕らが愛するミュージカルというジャンルのために、少しでも貢献したいと思ったんだ」と答えるゴズリング。スマホなどの小さな画面ではなく、劇場の大スクリーンで大勢の観客と映像体験を共有することの喜びについても、映画愛タップリに話してくれた。
そんなゴズリングを主人公セバスチャン役に起用したチャゼル監督は、陰と陽のキャラクターを自由自在に演じ分けるゴズリングの資質を絶賛。「映画に関する知識が豊富で、音楽にも深い愛情を持っている。彼ならこの役に魂を吹き込み、立体的に演じることができると信じていたよ」と語る姿からは、作品に対する自信とゴズリングへの深い信頼が窺える。さらに監督は、劇中のあちこちに鏤められた他の映画へのオマージュについても言及。「無意識のうちに影響を受けた作品は沢山あると思う。たとえば昨晩、日本の方と話している時に指摘されて初めて気付いたんだけど、ポップアートのような色彩設計や極端なワイド撮影などは、鈴木清順監督の『東京流れ者』(66年)と相通ずるものがあるかもしれないね」と述べ、シネフィル(映画狂)的な表情をほんのちょっぴり覗かせた。
会見のあいだ、チャゼル監督とゴズリングは互いに耳打ちし合ったり、握手を交わしたり、一方のコメント内容にジョークを被せたりと、終始和やかムード。監督と主演俳優というよりは、共通の趣味について楽しく語らう親友同士のようだ。最後に行われた鏡割りでは、2人仲良く木槌を振るって映画の大ヒットを祈願。爽やかな笑顔で退出していく瞬間まで、「つくづくカッコいい」チャゼル監督&ゴズリングなのであった。
監督とライアンが映画に込めた想いを語っています
会見の様子を余すところ無く公開!記者会見 その1
https://youtu.be/eoN1-FsnCK0
記者会見 その2
https://youtu.be/RoeaDexn_HQ
記者会見 その3
https://youtu.be/XwXRaTHc3j4
ストーリー
夢追い人が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミア(エマ・ストーン)は女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末のバーでピアノを弾くセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と出会う。彼はいつか自分の店を持ち、本格的なジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合うが、セバスチャンが生活のために加入したバンドが成功したことから何かが狂い始める――。
https://youtu.be/CvYgscp9dAE
監督・脚本:デイミアン・チャゼル『セッション』
出演:ライアン・ゴズリング『ドライヴ』、エマ・ストーン『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、J・K・シモンズ『セッション』
Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.