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オトナの心を持つ高校生が選択した「未来」とは…? 映画「ReLIFE リライフ」レビュー

オトナの心を持つ高校生が選択した「未来」とは…?

ある事件をきっかけに最初の就職先を辞めた海崎新太は、気が付けば27歳、終わりの見えないニート地獄に陥っていた。そんな時、謎の男・夜明了から社会復帰プログラム「リライフ」の勧誘を受けた海崎は、見た目だけ10歳若返り、高校3年生としての1年間を「やり直す」ことに。プログラム完了後の特典を目当てに飛び込んだ2度目の高校生活だったが、人付き合いのド下手なボッチ女・日代千鶴や、チャラ男優等生・大神和臣らと共に日々を過ごすうち、次第に仲間を想い、自分を見つめ直すようになっていく海崎。いよいよリライフの終了(=クラスメイトたちとの別れ)が目前に迫った時、オトナの心を持つ高校生が選択した「未来」とは……?
 マンガ・ノベルサービス「comico」にて連載中の同名漫画を実写化した青春ストーリー。深夜ドラマ『監獄学園-プリズンスクール-』(15年)やNHK大河ドラマ『真田丸』(16年)への出演で知られる中川大志、『青空エール』(16年)の平祐奈など若手キャストが集結し、『Another アナザー』(12年)、『ルームメイト』(13年)の古澤健が監督を務めている。

 人気小説やヒット漫画は、オリジナル脚本と比較すると映画化企画が通りやすい(と、されている)。高い世評というものは、締まり屋を相手取ったプレゼンの場においても凄まじい威力を発揮するからだ。しかし、キャスティングでキャラクター達に「顔」を与えた瞬間から状況は一変。配役にはほぼ確実に難癖をつけられ、映画化のために施されたストーリー改変は、原作に強い思い入れのあるファンたちの神経を(多くの場合、あまりよろしくない意味で)ピリピリと刺激する。しかも、原作で有効だった手法が他の媒体でも通用するとは限らない。小説には小説の、漫画には漫画独自の表現方法が存在し、もしもそれらを安易に移植してしまえば、「実写版ならではの魅力」を伝えるはずだった作品は、見るも無残なコスプレ大会と成り果てる。苦あれば楽あり、楽あれば苦あり……つまるところ、最初から最後までオチャノコサイサイで進められる企画なんて無いということだ。

 映画『ReLIFE リライフ』も、上記の難題を華麗にクリアできているとは言い難い。ところどころで過剰にカリカチュアライズされた演技、ギョッとするような効果音(コミュニケーション能力に難ありな人物が「ぎこちない笑顔」を浮かべるたび、錆びた蝶番が軋むような音を貼り付けるセンスはさすがにどうかと思う)、画面に映った文字情報をナレーションで補強する、わかり易さ重視のお節介演出……漫画やアニメであれば何の違和感もなく、むしろ効果的に思えたかもしれない手法が、生身の肉体を伴った実写映画においては看過し難いノイズとなり得る。ヤングアダルトSFチックな設定が根幹にあるとはいえ、基本的には身近な青春物語として進行する『ReLIFE リライフ』。諸要素を塩梅よく調合していく作業には、超人同士がドッカンバッコンとデーハーな戦いを繰り広げるコミック原作映画の製作とはまた違った難しさがあり、スペクタキュラーな目くらましが使えない分、欠点も目につき易い。
 言いたいことは色々ある本作だが、その中でも確かな「オレの刻印」を打ちつけているのが監督・古澤健。思春期に観た『悪魔のいけにえ2』(86年)に圧倒され、『悪魔の毒々モンスター』(84年)の主人公メルヴィンに深く感情移入したという彼の作品には、他者と分かち合えない孤独を抱えた人物や、疎外されて寄る辺を無くしてしまった者たちをそっと見守り、応援するような優しさがあり、本作でもその視点は失われていなかった。最近では若手俳優をメインに据えた青春映画を手掛けることの多い古澤監督であるが、そろそろ『いけにえ2』ばりにハッチャケた、はみ出し者たちが景気よく蜂起するブルータルな映画を撮って欲しいものである。いつも心に電ノコを!!なんなら筆者の私物(コード式・オイル漏れあり)、貸しますぜ。

【公式HP】icon-external-link http://relife-movie.jp
【原作】夜宵草 著「ReLIFE」(comicoにて連載中)
【監督】古澤 健
【脚本】阿相クミコ
【出演】中川大志 平祐奈 高杉真宙 池田エライザ 岡崎紗絵/千葉雄大 市川実日子
【企画】カルチュア・エンタテインメント

© 2017「ReLIFE」製作委員会 ©夜宵草/comico

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