一足先に鑑賞した各界の著名人よりコメントが到着!
映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』。
本作を一足先に鑑賞した田原総一朗さん、久米宏さん等ジャーナリズムに精通している両者をはじめとし、 各界の著名人の方々よりコメントが到着。「この映画にはサスペンスがある。アウトサイダー対全権力、という古典的な闘いで、 架空の世界の話しではなく、本当にあったことだ。そして、感情に訴えかけ、時代を問わず人々を鼓舞し続けるヒーローの物語 なんだ。」と語る、本作のメガホンをとったラース・クラウメ監督と同じく、孤高のヒーロー フリッツ・バウアーに魅了された著名人の方々からの共感&絶賛コメントです。
田原総一朗(ジャーナリスト)
ドイツ政府がアイヒマンをつかまえない深刻な理由
久米宏
ドイツは、敗戦後、ナチの犯罪を直ちに認め、深く反省したのか。 実は、そうではなかったのだ。それには、長い時間が必要だった。 これは普遍的なテーマだと、映画を見終わって気が付くことになる。 人間も国家も複雑系なのだ。
深澤真紀(淑徳大学客員教授)
ユダヤ人であり、もうひとつの秘密も抱えているために、収容所では、ナチへの忠誠を誓ってしまったバウアー。 戦後、彼がナチの残党を追い続けたのは、復讐のためではなく、若い世代の作る“未来のドイツ”を信じていたからなのだ。
三浦瑠麗(国際政治学者)
何故ナチス狩りに執念を燃やすのか。周囲を騒つかせる彼の冷厳な理性こそ我々の守り手だと最後に知る。
大澤聡(批評家/メディア研究者)
討論番組での発言が物語に転回を呼びこむ。まさにテレビ時代を象徴するシーンだ。では、このネット時代にフリッツ・バウアーはいかにして可能か?
田島隆(漫画原作家/『極悪がんぼ』)
心理描写が素晴らしい。自己の中に存在する罪への呵責、ゆえに生まれる正義への義務感。理想主義としての正義の追及でないところが生々しい。ユダヤとナチス残党が同居する混沌とした戦後ドイツを舞台にスリリン グかつ哀愁漂う音楽がよく合う、大人の作品だ。
ロバート キャンベル(日本文学研究者)
「悪の凡庸さ」と言われるアイヒマンを追い詰めたのは、実は非凡の検事長であり、その検事長も、当時の社会では受け入れられない秘密を抱えていた。 執念と欲望のリアル過ぎる重箱みたいなミステリーに心を揺さぶられ、頭を殴られた気分。傑作だ!
蟹瀬誠一(国際ジャーナリスト 明治大学教授)
これまでナチス幹部を追う映画はいくつも見たが、これほど心に染み入る作品は初めてだ。過去の秘密を背負いながら執念よりも信念に燃える孤高の検事の姿は鬼気迫るものがある。人道とは何かという重いテーマだが、上質のサスペンス映画に仕 上がっていて最後まで一気に見た。
佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
歴史を忘れ去ろうとする人々に立ち向かい、周囲が敵だらけの中で孤独に地道に戦った検事長。私たちは空気に流されず、ここまで信念を貫き通せるだろうか。
夏原武(作家/『クロサギ』原案)
どんな圧力にも屈しない検事長と、信念で従う部下の「男の友情」も見どころ。 大人の男とは年齢ではなく生き方だと教えてくれる映画だ。
柳広司(小説家『ジョーカー・ゲーム』)
「私は誰も殺していない。お膳立てしただけだ」 ユダヤ人虐殺を指揮したアイヒマンの台詞が、震災以来この国で流布する多くの言葉に重なる。 アイヒマンを追い詰めるバウアー検事長こそ、いまの我々に必要なヒーローだ。
森達也(作家・映画監督・明治大学特任教授)
とてもエンターティメント的な要素が、すべて重厚な史実に回収される。 なぜアイヒマンは故国であるドイツではなくイスラエルで裁かれたのか。ずっと抱えていた疑問が一気に解けた。
デーブ・スペクター(放送プロデューサー)
どの国の人が観ても考えさせられる貴重な作品。国と民族のプライドを取り戻すため懸命に捜査するバウアーを応援したくな る。戦後、国の向上と発展のために過去と縁を切ったドイツとの対決は最後まで目が離せない、最高のサスペンス。
瀬谷ルミ子(日本紛争予防センター理事長)
抵抗勢力と罠に囲まれたなかでも、信念を保ち大義を果たすために人はどうあるべきか? 人類史上最大の罪のひとつに対峙した男の姿に、心が奮い立たされた。
溝口敦(ノンフィクションライター)
戦後日本はついに執念のバウアー検事長を持てなかった。彼はアイヒマンの連行、逮捕にドイツもインターポールも動かないと見るやモサドを動かす。政府内に居座るナチ残党とのつばぜり合いなど見所が多く、終始飽きさせない。
今井一(ジャーナリスト)
一人の人間の情熱・行動が、闇を照らし閉ざされた道を拓くことがある。 この映画の主人公、フリッツ・バウアー検事長も「ナチス犯罪の追及」でそれを証明してみせた。
大谷昭宏(ジャーナリスト)
過去をなかったことにしようという国がある。過去に目をつむろうとする人がいる。 だが、ここに、過去をこの手で捕えようとした、孤高の男がいた。
斎籐貴男(ジャーナリスト)
これは、安倍政権の下にいる日本人に向けた映画ではないのか。
富永京子(社会学者/立命館大学准教授)
「私はこの国の敵なのか?」ただ一人、形ばかりの「和解」を糾弾し、国家と向き合おうとした男の執念。
やくみつる(漫画家)
ナチの残党追及。陰の圧力、怯え、ジリジリとした展開………からのぉ!「第2」の主題へ。喜劇(コメディ)もかくやの終幕。こりゃ深刻だ。
三上 智恵(映画監督)
「私こそ愛国者だ」というバウアーの言葉に私の愛国の概念が一変した。 国の罪と徹底して闘うのは祖国の未来を抱きしめたいから。その意味では、今辺野古と高江で闘っている人たちこそ新の愛国者なのだ。
豊川大智(弁護士)
アウシュヴィッツ裁判は,ドイツのみならず各国の刑法学に影響を与えた。 単なるナチスへの復讐との揶揄は的外れである。法曹としてのバウアーの生き様に心が熱くなる。
伊藤真(弁護士/伊藤塾塾長)
自国にとって都合の悪い歴史に真正面から向き合い続けることは大変な困難を伴う。 だからこそ、それを乗り越えた国は「国際社会で名誉ある地位を占める」ことができる。
萩谷麻衣子(弁護士)
正義を追求するには時として大きなリスクを伴う。 リスクを背負い究極の選択を迫られた時でさえ人は自分が信じる正義を貫き通せるものなのか、この映画を観て自問自答している。
『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』あらすじ
1950年代後半のドイツ・フランクフルト。
検事長フリッツ・バウアーはナチスによる戦争犯罪の告発に執念を燃やしていたが、未だ大勢の元ナチス党員が政治の中枢に残りあらゆる捜査は遅々として進まなかった。そんなある日、バウアーのもとに数百万人のユダヤ人を強制収容所送りにした親衛隊中佐アドルフ・アイヒマン潜伏に関する手紙が届く。アイヒマンの罪をドイツで裁くため、ナチス残党が巣食うドイツの捜査機関を避け、イスラエルの諜報機関モサドにコンタクトをとりアイヒマンを追い詰めていく。しかしその頃、フランクフルトではバウアーの敵対勢力が、彼の失脚を狙って狡猾な謀略を巡らせていた…。
2017年1月7日(土) Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
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