SF

名も無きヒーロー達の熱い戦い!結末は希望か絶望か…映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」レビュー

[2016年 監:ギャレス・エドワーズ 出:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ]

正史の裏に隠された激闘

レビュー

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の「その後」は、通常ではあり得ないほどハッキリしている。なんたって、もはや説明も要らないほどの人気シリーズとなった『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品であり、しかも『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(77年)の冒頭場面に直結するオハナシだというのだから。約40年前から既にネタバレ!そして星の数ほどもあるマニアックな裏設定との辻褄を合わせつつ、ビギナーもコアなファンも満足させられるような作品に仕上げる……難度は凄まじく高そうだが、さて、その出来やいかに。

プロットは至って単純。
『新たなる希望』で圧倒的な破壊力を見せつけた帝国軍の最終兵器デス・スター、その設計図を敵の懐から奪取せよとの密旨を受けた反乱軍とアウトローの混成チームが、命懸けの戦いに身を投じる……というもの。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(05年)で銀河共和国が崩壊して十数年、もはや正攻法で相手を打ち負かすほどの戦力を持たないジリ貧レジスタンスは、鹵獲した敵兵器や帝国軍からの脱走兵、果ては素行不良のハミ出し者までかき集めてゲリラ戦を続けているのだ。頼みの綱であったはずのジェダイは過去の戦いでほぼ死に絶え、宇宙の均衡を司る不思議な力・フォースの存在すら忘却されつつある暗黒の世界。平時であれば銀河の鼻つまみ者として追い立てられそうな連中が「いっちょやったるか!」と奮闘する本作のバトルは、過去作における「選ばれし者たちの戦い」とは対照的に泥臭く、生々しい迫力があり、そしてどこまでも人間的である。

「ハッピーエンド」、あるいは「バッドエンド」という言葉からも分かるように、映画の終盤の展開というものは本編全体の印象をも左右・決定し得る重要な要素だ。陰惨極まりないストーリーを追いかけていたらラストで救われた、なんて経験はザラにあるし、ほのぼのとした気分が最後の最後でドン底に落とされることもしばしば。そして上映時間に限りがある以上、曖昧な「その後」については観客自身が想像を巡らせ、各々の心の中で補完していくしかないのである。では『ローグ・ワン』はどうか?単体作品として観た場合、これをハッピーエンドと言い切るのはかなり苦しい。敵要塞攻略の方法を探るために必要不可欠な作戦とはいえ、反乱軍の人的・物的損害はあまりにも大きすぎる。観客の中には、達成感よりもむしろ大きな喪失感を抱えて帰路につく人だっているだろう。だが同時に我々は、本作の登場人物たちの払った犠牲が、後にどんな成果として結実したかも知っている。「『新たなる希望』のラスト、表彰式典でルーク・スカイウォーカーとその仲間が見せた笑顔の裏には、こんなに大勢の“名もなきヒーロー”たちの頑張りがあったのだ!」……何となくの予備知識を持ってはいても、大スクリーンでその事実を再認識させられた途端、心の中にグッと熱いものがこみ上げてくる。「約40年の長きに亘って愛され続けてきた世界的ヒットシリーズのスピンオフ作」という強みを活かした、まさに『スター・ウォーズ』ならではの妙技といえるだろう(鑑賞後にシリーズのファンである友人と語らう中でふと思い出したのだが、「絶望的状況下で、希望のバトンを次に繋ぐ」というこの感覚、アニメ版『ドラゴンボールZ』の外伝的作品だった『たったひとりの最終決戦』(90年)、所謂『バーダック編』にもちょっと似ている。内容こそかなり違うが)。

個性的な登場人物たちの描き分けや語り口の滑らかさという点においては、昨年末に公開された正史7作目『フォースの覚醒』(15年)と比較して少々たどたどしい部分も目に付くものの、そんな小さな欠点アレコレは設計図奪取ミッションがスタートしてからの手に汗握る展開で全て帳消し。悪のカリスマ、ダース・ベイダーの登場場面はもちろん燃えるし、CG技術の力を借りて銀幕復帰したアノ人コノ人が、『新たなる希望』の頃と変わらぬ姿で自然に演技していることにも驚かされる。だが何より嬉しかったのは、盲目の戦士チアルート・イムウェ役に起用された「宇宙最強の男」ドニー・イェンに、彼の比類なきアクション・センスを披露する見せ場を(一瞬ではあるが)ちゃんと用意してくれたこと。フィルモグラフィーからも、そのオタク的資質を垣間見ることができるギャレス・エドワーズ監督、やっぱり「よく分かってる」男のようだ。

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