SF

映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」笑いと涙の銀河英雄伝説

此度のストーリーの主軸となるのは、希代のチャランポラン・ヒーロー、ピーター“スター・ロード”クイルとその実父

いや~、面白い!観ている間、これほどの多幸感に浸っていたのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15年)極上爆音上映以来ではなかろうか。1作目の日本公開時、劇場での鑑賞をスルーするという大失敗を犯した筆者ゆえ、大スクリーンでガーディアンズの面々と再会できた喜びからくる欲目、贔屓目も確かにあるのかもしれないが……いや、そんなのは些末なこと。極上フルコース料理をさんざっぱら馳走になっておいて、細かいアラを探すのは野暮天ってもんだ。

 宇宙刑務所に収監されたスペース問題児たちが、同じ釜のクサい飯を食らった縁でチームを編成、ああだこうだと小競り合いを繰り返しつつ、最後にはみごと銀河の大悪党を倒してみせた前作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)。壮大なスペース・オペラに懐メロ(尚且つ、本編内容と歌詞に密接な関係を持たせた丁寧選曲)を大量トッピングする手法は「すき家」のキムチ牛丼もビックリな相乗効果を生み、新しい味に飢えていたSF映画ファンの腹を満たしてくれた。今回も、タイトル・シークエンスでエレクトリック・ライト・オーケストラの“Mr. Blue Sky”を景気よく放出。ハチャメチャな大乱闘を背景にした手のひらサイズのダンス・シーンからは、「またまたスゲェものを見せてやるぜ!」という作り手の意気込みと自信が感じられる。

 此度のストーリーの主軸となるのは、希代のチャランポラン・ヒーロー、ピーター“スター・ロード”クイルとその実父であるエゴとの、規格外スケールな親子関係。前作でもその特異性を仄めかされていたピーターの親父さん、やっぱりただの宇宙ヤリチンなどではなかったことが序盤で判明する。病身の母を地球に残して蒸発したオトンに複雑な感情を抱いていた我らがスター・ロードも、自分が「選ばれし者」であると聞かされればまんざら悪い気はせず、意外とアッサリ和解。「一緒に汚れ仕事も買い食いもした悪友が、実はベンツ通学の御曹司だった!」と知って困惑するチームメンバーの心配を余所に、『フィールド・オブ・ドリームス』(89年)ばりの親子キャッチボールに興じる相変わらずの能天気ぶりを披露する。ヘタすりゃ説明一辺倒のモタモタしたシークエンスになるところだが、近ごろ再び絶好調な個性派俳優カート・ラッセルをエゴ役に抜擢するという大正解すぎるチョイスのおかげでムードは明るく、テンポは軽快。ライトなノリのみならず、目鼻立ちもどことなく似ているピーター役クリス・プラットとの相性は抜群だ(この両者の間にジョエル・エドガートンを挟み込めば絶妙の顔面グラデーションが完成する。どうでもいいことだけど)。

 神にも等しい潜在能力を持ち、親子仲は良好で、おまけにイケメン。嗚呼、僕らの親愛なるスター・ロードがどんどん遠くへ行ってしまう……という危惧も一瞬胸をよぎるが、この手の映画において、あまりにスムーズに構築された「父と子の絆」というものは、後々ガッツリと亀裂が生じるように設計されているので心配ご無用。やがてエゴの口から告げられる驚愕の真実、そしてそれを聞いたピーターが咄嗟にとった行動を号砲に、それまでのホノボノした雰囲気は一変、CHA-LA HEAD-CHA-LAな超絶バトルがオッ始まる。そこへまた、女戦士ガモーラと改造暗殺者ネビュラの愛憎入り混じる姉妹関係、かつて少年ピーターを地球から攫ってきた海賊ヨンドゥの人知れぬ苦悩と決断、あるモノをガーディアンズから奪い返すために執拗な攻撃を仕掛けてくる惑星ソヴリンの金ピカ宇宙艦隊、毒舌アライグマのロケットと木人ベビー・グルートによるTPOガン無視な脱力漫才……とまぁ、いくら書き並べても追いつかないほどの要素をゼイタク盛りにしてくれるのだから眼福至福。毒っ気の強いジョークに笑わせられたかと思えば、次の瞬間繰り出された感動場面に思わず涙腺が緩み、再びのバカバカしいギャクで泣き笑い、という驚異の情動波状攻撃にはもう素直に降参するしかない。

監督のジェームズ・ガンは、俗悪映画制作会社(褒めてます)トロマ・エンターテインメントで下積み生活を送り、脚本担当作品『スクービー・ドゥー』(02年)と『ドーン・オブ・ザ・デッド』(04年)で一躍売れっ子ライターの仲間入りを果たしたものの、監督作『スリザー』(06年)では手痛い興行的惨敗を経験、超低予算の異色ヒーロー・コメディ『スーパー!』(10年)で再出発、という波乱に富んだキャリアの持ち主。そんな苦労人が立て続けに放った快打2連発には、「マーベル・シネマティック・ユニバースの構成パーツ」なんて括りでは到底収まらない伸びらかな楽しさがある。邦題がイマイチ、とか言ってるヒマがあったら、一刻も早く劇場へ。合言葉はモチロン“We are Groot.”ですよ!!

監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デビッド・バウティスタ、ビン・ディーゼル、ブラッドリー・クーパー

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